皮膚科 医院開業のポイント...

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診療科目別 医院開業のポイント

皮膚科 医院開業のポイント

特徴と注意点

どの様な症状をどこまで診るのか?最も選択肢の多い診療科目です。
小オペをするのか?
レーザーを導入するのか?
美容をどこまで取り入れるのか?
ビタミン注射は?
AGAは?

どの様な戦略でどんな患者層をターゲットにするかで、開業場所・開業費用・必要診療面積も全く違ってきます。
極端に言えば、一般皮膚科だけを診るのなら顕微鏡だけの20坪程度のテナントでも開院出来ますが、レーザーを複数導入し、美容外科に近い診療内容となれば、大きめの診療スペースと華美な内装が必要となります。その場合、当然立地はそれなりの大きさのターミナル駅の駅近が必須条件となります。

皮膚科は、保険診療だけで言えば診療単価が低く多くの患者さんを診る必要があるので、患者さん回転をいかに速く回すかが課題です。その為には、患者さんの着替えの時間なども考慮して、診察室は1室だけでなく、複数室ある方が望ましいです。

この様に、一口に皮膚科といっても目指す医療内容により全く違った医療機関になるので、熟考に熟考を重ねて開業コンセプトを作り上げることが重要です。

必要面積と開業物件立地(選定)ポイント

物件立地について

立地選定は希望するエリアを絞り込み、物件の目星を付けて診療圏調査を行い、あらかじめ定めた診療コンセプトを考慮して選定をする。自院の強みを明確化することで、対象とする患者層や地域性が浮かび上がる。そして、事業シミュレーションをした上で十分に経営に成り立つ物件がどうか確認するのがいいでしょう。

必要面積
約15~35坪。レーザー治療をする場合は約30~50坪が必要。

ポイント
皮膚科の場合、美容皮膚科などの自由診療の割合をどれだけ行うかがポイントとなります。自由診療が中心となるクリニックの開業は、ターゲットが若い女性となる場合が多いのでオフィス街や繁華街など昼間の人口が多いエリアがよく、保険診療中心の一般の皮膚科では、幅広い年齢層・性別がターゲットとなるのアクセスのよい駅前などがいいでしょう。

おすすめ開業形態

戸建てクリニック

①土地を購入(または所有地)
②土地を借りる
③建て貸し(リースバック)

メリット
設計プランの自由度が高く希望に合ったクリニックを作ることができます。また、駐車場の台数も確保できる場合も多いので車を利用した来院患者の確保も見込むことができます。

デメリット
開業資金が多額となり、開業後の資金繰りも含めて資金調達を考える必要があります。また、開業までの期間が長く、時間や費用のロスがでることもあります。

ビル診療所

①スケルトン
②事務所仕様
③医療ビル
④医療モール

メリット
初期投資が比較的少なく開業資金に応じた計画を立てることができます。また、駅前など好立地物件や医療モールなど集患しやすい面もあります

デメリット
設計プランの自由度が低く、制約も多いことがあります。診療科目によってはクリニックに適さない場合や家賃の関係上、窮屈な設計になることもあります。医療機器の搬入や設置、空調設備、換気設備、給排水設備などの検討が必要となります。

第三者より承継したクリニック

メリット
施設の内装や医療機器など承継することにより初期投資がまったくの新規開業より少なくてすむ場合があります。そして、何より、患者を引き継げること、当初よりある程度の患者を確保できることが大きなメリットとなります。また、スタッフの継続雇用もメリットとなりうる材料にもなります。

デメリット
前院長の診療方針を無視してしまうと今まで通ってくれていた患者が離れてしまうことがありますので、自分らしい診療方針にとらわれることなく少しずつ変えていくことが必要となります。
また、既存の施設を利用する必要があるので改修や医療機器の入れ換えなどの制約が多いことが考えられます。

内装レイアウトのポイント

皮膚科に関しては、「保険診療が中心」と「自費診療が中心」かで大きく異なります。
保険診療の皮膚科の場合は、診療単価が低く、収支を考慮すると多くの患者さんを診ることになります。そのため、広い待合スペースや多人数に対応可能な受付が必要です。
一方、自費診療の場合は、完全予約制とする事が多いです。
また、診療内容によっては、化粧を落としてもらう必要がる為、処置室やレーザ室の中か外にパウダーコーナーを準備するのが望ましいです。
その他、レーザー治療の場合は、タンパク質の焦げるような臭いが発生する場合もあり、処置室の換気(特に排気)は単独で設置した方がいいでしょう。外部に直接ダクトが出せることも重要です。

広告活用について

地域密着型の広告媒体やアトピーなどで小児も多く来院するため、母親をターゲットとした広告展開をすると効果的です。

ターゲットは小児・母親だけでなく、皮膚科一般を中心に標榜する場合は男性も含めた広告展開をすると効率的です。

適正な人員配置

受付、看護師
基本的には受付と看護師の人員配置で問題ありません。美容に力をいれるのであれば、経験のあるスタッフを採用するのがよいです。

資金計画

内科をベースにして、各診療科目ごとに資金計画を比較します。

テナント保証金:交渉が可能な場合もありますが、10カ月分が基本となります。
広告宣伝費:ホームページ作成料や、看板等、内装サイン工事の費用になります。
什器・備品:待合の椅子や、診察室の机等の費用となります。
医師会入会金:地域によって違いますが、300万円~500万円のレンジが多くなっております。
開業コンサルタント:金額やお願いできる業務内容はピンキリです。数百万という会社もあります。
運転資金:事業が軌道に乗るまでの固定費(家賃や人件費等)の支払いに充てる資金です。多く確保できると安心です。
基本的には使途が限定されていない運転資金は借りにくいのですが、最近は多く借りることが可能となっております。

内装工事(40坪) 2,400万円
医療機器 1,500万円
テナント保証金 400万円
広告宣伝費 300万円
什器・備品 200万円
医師会入会金 400万円
開業コンサルタント 100万円
薬剤費 50万円
運転資金 1,500万円
開業前経費、予備費 100万円
合計 6,950万円

坪数は比較的小さいケースが多いです。自費診療をする場合は医療機器にコストがかかります。

損益分岐点

●設定条件●
固定費は、統計データ固定費−専従者給与で設定
借入5,000万円、15年元利均等返済、金利0.1%、据え置きなし→毎月返済額 約28万円
借入7,500万円、15年元利均等返済、金利0.2%、据え置きなし→毎月返済額 約42万円
生活費70万円

◎前提条件(単位:円)
固定費(月) 粗利益率 単価 日数
2,730,000 91.9% 3,500 20
◎借入5,000万円のケース(単位:円)
固定費+返済
+生活費
必要収入額 必要患者数(人) 粗利率 単価 日数
3,710,000 4,036,997 1,153 58 91.9% 3,500 20
◎借入7,500万円のケース(単位:円)
固定費+返済
+生活費
必要収入額 必要患者数(人) 粗利率 単価 日数
3,850,000 4,189,336 1,197 60 91.9% 3,500 20

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