設計者の知識不足
標榜科目 | 眼科 |
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立地条件 | 郊外の戸建 |
眼科の設計はクリニックの中での少し特殊である。設置される医療機器の種類も多く、検査の内容により部屋の明るさを調整しなければならないからである。
まずレイアウト上で一番重要なのは視力検査の際に5m必要かどうかである。今の検査機器は約1mからでも検査できるがドクターの好みにより大きくスペースの取り方が変わってくる。そして検査室内には多くの検査機器が設置され各機器に電源が必要になるために床下ピットも必須の設備となるが、設計者の知識不足によりピットがなく床上には配線があり、目の不自由な患者さんにとって不便で危険な部屋となった。
眼科では当然部屋を暗くして行う検査項目もあるが、窓面から光が漏れたり、照明のON,OFFを切り替えるスイッチが通常の入口ドアの横でいちいちそこまで移動しなければならなかったりと眼科のドクターの常識では考えられないレイアウトや設計になってしまった。
検査についても流れがあるので設置される機器を想定し、各部屋の大きさや仕切り(間仕切かカーテンか)を決めていきドクターと打合せすることが肝要であるが、あまり医療機器に精通していない設計士の場合には会話についていけないであろう。
眼科の電子カルテも特殊であり、多くの医療機器とのLAN接続も必要で弱電盤も大きなサイズが必要となる。また電子カルテを導入しない場合には紙カルテの数量がものすごく増えるので受付廻りや別の保管場所の確保といった将来を見据えて検討する必要が出てくる。
今回は眼科の例についてだが、各診療科目により導入される医療機器や部屋の大きさやレイアウトは全く異なってくる。建物の外観や雰囲気のこだわるのも重要だが医療施設として効率よく運用ができるレイアウトを追求することが、一番重要なファクターとなる。