医師のみに認められる経費の計算方法ってあるんですか?
医師会の入会金は支出した年で全額必要経費になりますか?
●医師の概算経費の特例(社会保険診療報酬の所得計算の特例)とは?
社会保険診療の収入金額をもとに、実際の支出金額ではなく、社会保険診療報酬に一定の率を乗じて計算した概算経費の額を必要経費とみなし、収入から控除できる制度のことです。(個人開業医も医療法人も利用できます)
●どのような場合に適用できるの?
- 社会保険診療報酬が年間5,000万円以下
- 自由診療を含めた医業収入の合計額が年間7,000万円以下
上記の2要件をどちらも満たせば、特例計算の適用が可能となります。
※健康保険法、国民健康保険法、介護保険法、老人保健法等保険の適用があるものに限る。助産師、あん摩師、はり師、きゅう師、柔道整復師等はこの特例の適用はなし。
●概算経費の計算方法は?
以下の表に当てはめて計算します。
社会保険診療報酬 | 概算経費額 |
---|---|
2,500万円以下 | 72% |
2,500万円超 3,000万円以下 | 70% + 50万円 |
3,000万円超 4,000万円以下 | 62% + 290万円 |
4,000万円超 5,000万円以下 | 57% + 490万円 |
※社会保険診療報酬以外のその他収入がある場合は、必要経費を社会保険診療に対する実額経費とその他収入に対する実額経費に分け、その他按分等の所得計算をする必要があります。
【具体例】
- 年間収入 6,000万円(社会保険収入4,500万円、その他収入1,500万円)
- 年間経費 2,000万円(社会保険に対する実額経費1,500万円、その他収入に対する実額経費500万円)
<原則>
収入 6,000万円-実額経費 2,000万円=所得 4,000万円
<特例>
社会保険収入 4,500万円 その他収入 1,500万円
社保概算経費 ※3,055万円 その他実額経費 500万円
社保部分所得 1,445万円 その他部分所得 1,000万円
※4,500万円×57%+490万円=3,055万円
特例適用時の所得合計⇒1,445万円+1,000万円=2,445万円
結果、特例を適用すれば、1,555万円も所得を圧縮でき、特例が有利となります。
●特例を利用するには、上記の2要件のみで、税務署への事前の届出等も一切不要です。
また、社会保険診療収入が年間5,0000万円前後になる年度については、収入を5,000万円以下に抑え、特例を利用する方が有利な場合もありますので、毎年検討することをオススメします。
(2014-09-11 / Y.N)